ローカルネットワーク内のみで使えるメールサーバをたてよう
●はじめに
・外部には公開せず、ローカルネットワーク内のみの検証用としてメールサーバをたてたい
・とりあえずメールサーバをたててみたいが、どうすればよいか分からない
このような人向けです
※設定ファイルに余計な設定をしてしまっているところがあったり、説明が間違えているところがあるかもしれません
また、2014/12月時点での導入方法なので、バージョンがあがるなどの環境の変化によりこの方法ではできなくなってしまうかもしれません、ご了承ください
●今回紹介するメールサーバ導入の概要
最終的には以下のような構成になります(仮想環境です)
・前提
1.VMwarePlayerにメールサーバ兼クライアントとしてCentOS6.6を、クライアントとしてLubuntu14.10をたて終わっている
2.SSLなどのセキュリティ機能は使わない
3.DNSを使用せず、サーバを指定するときは直接IPアドレスを指定する
・目標
server1(server1@example.local)、user1(user1@example.local)というアカウントをつくり、メールクライアントを用いてローカルネットワーク内でメールのやり取りをする
・環境
1.VMwarePlayer 6.0.2
2.CentOS 6.6 (メールサーバ兼クライアント用)
3.Lubuntu 14.10 (クライアント用) ※クライアント用はどんなOSでもよい
4.Postfix 2.6.6-6 (メール送信サーバ) プロトコルとしてSMTPを使っている
5.Dovecot 2.0.9-8 (メール受信サーバ) プロトコルとしてIMAPかPOPを使っている ⇒今回はIMAPを使う
6.Evolution 2.32.3-34 (メールクライアント) ← マイクロソフト社のOutlookのようなもの
●viエディタの簡単な使い方(必要のない方は飛ばしてください)
今回、設定などを編集するのにviエディタ(ウィンドウズでいうメモ帳のようなもの)を使う
このviエディタを使う上で重要なことは、Insertキーを押すと挿入モードに、Escキーを押すとコマンドモードになるということ(だと思う)
例
・文字を書きたかったら →Insertキーを押すと書けるように
・ファイル上書きしたかったら →Escキーを押す、:w を入力しエンター
・編集を終了したかったら →Escキーを押す、:q を入力しエンター
・ファイルを上書きせず編集を終了したかったら →Escキーを押す、:q! を入力しエンター
今回はこの程度の知識があれば十分です
●流れ
1.いきなり構成通り設定するのではなく、はじめにメールサーバ兼クライアント(CentOS)内でメールのやり取りができるようにする
2.メールサーバ用CentOS及びクライアント用Lubuntuの持つインターフェースにIPアドレスを割り振り、IP通信ができることを確認する
3.192.1.1.0/24内でもメールを使えるように設定を少しいじる
4.メールサーバ用CentOSとクライアント用Lubuntu間でのメールのやり取りをテストし、無事動作したら目標達成
●手順1
概要:メールサーバ兼クライアント(CentOS)内でメールのやり取りをできるようにする
メールサーバ兼クライアント(CentOS6.6)を起動、ターミナルを開く
以下のコマンドを実行
su ←rootにする
yum -y update ←念のためアップデート
vi /etc/selinux/config
SELINUX=enforcing
⇒ SELINUX=disabled に変更(selinuxを無効化)
(※viエディタの使い方は少し上の項目にあります)
次に、使用するポート番号のファイアウォールを無効化する
a.システム→管理→ファイアウォールを選ぶ
b.ファイアウォールの設定画面が開くと以下のようなポートリストがでるので、メール(SMTP)にチェック
c.次にその他のポートを選ぶ
d.右側にある追加ボタンを押し、ポート番号110番のpopとポート番号143番のimapのtcp,udpをリストに追加
e.以下の画面のようになったら、最後に適用ボタンを押し反映させる
上記の作業が終わったら、一旦CentOSを再起動する
・postfix関連から設定
su ←rootにする
yum -y install postfix ←postfixのインストール(元から入っているかも)
service sendmail stop ←Sendmailを止める(そもそも入ってないかも)
chkconfig sendmail off ←Sendmail自動起動を止める(そもそも入ってないかも)
service postfix start ←postfixを起動
chkconfig postfix on ←postfix自動起動を有効化
・設定ファイルの編集
vi /etc/postfix/main.cf
#mydomain = domain.tld
⇒ mydomain = example.local に変更(#をはずしドメイン名変更 自分のドメイン名を書くところ)
#myorigin = $mydomain
⇒ myorigin = $mydomain に変更(#はずす)
inet_interfaces = localhost
⇒ inet_interfaces = all に変更(localhostのみしか受け付けなくなっているため変更)
inet_protocols = all
⇒ inet_protocols = ipv4 に変更(今回はIPv4しか使わないため変更)
mydestination = $myhostname, localhost.$mydomain, localhost
⇒ mydestination = $myhostname, localhost.$mydomain, localhost, example.local に変更(宛先ドメインとして今回使うドメイン名を追加しておく)
#mynetworks = ・・・の下
⇒ mynetworks = localhost を追加(はじめはlocal内で動かすだけなので自分のネットワークはlocalhostのみ)
#home_mailbox = Maildir/
⇒ home_mailbox = Maildir/ に変更(#はずす メールボックスはMaildir形式を使うようにするという意味)
これで /home/ユーザ名/Maildirに保存されるように?
#mail_spool_directory = /var/mail
⇒ mail_spool_directory = /var/mail/ に変更(#はずし、/追加 各ユーザのメールディレクトリは/var/mail/以下につくるという意味)これやらなくていいかも
設定を保存し編集を終えたら、
service postfix restart でpostfixを再起動
・メールアカウントをつくる(今回はuser1とserver1)
useradd user1 -s /sbin/nologin ←user1ユーザの追加
passwd user1 ←user1のパスワード登録(今回は「12345」としました)
useradd server1 -s /sbin/nologin ←server1ユーザの追加
passwd server1 ←server1のパスワード登録(今回は「12345」としました)
後でパスワードを使うことになるので覚えておく
※今回は説明をしやすくするため、パスワードを「12345」としましたが、これは破られやすいパスワードなので必ず推測されにくいパスワードを使ってください
・user1やserver1は/var/spool/mail/以下の書き込み権がないので権限を与える
chmod 777 /var/spool/mail
以上でメール送信はできるようになったので、telnetというターミナル上でメールなどのやり取りができるものを使ってメール送信テストを行なう
yum -y install telnet ←telnetのインストール
telnet localhost 25 ←ポート25番にlocalhostで接続
220 localhost.localdomain ESMTP Postfix
helo localhost
250 localhost.localdomain
mail from: user1@example.local ←メールの送信元アドレス
250 2.1.0 Ok
rcpt to: user1@example.local ←メールの宛先アドレス
250 2.1.5 Ok
data ←メールの本文かきますよというコマンド
354 End data with <CR><LF>.<CR><LF>
helo postfix ←メールの本文
. ←コンマはメールの本文を書き終えましたよというコマンド
250 2.0.0 Ok: queued as ・・・
quit ←telnetを終了するコマンド
221 2.0.0 Bye
このテストが終わった後
ls /var/mail/user1 でファイルができていることを確認
ls /home/user1/Maildir でファイルができているはず(ディレクトリが見つからないとでなければ問題なし)
・dovecot関連の設定
yum -y install dovecot ←dovecotのインストール
service dovecot start ←dovecotを起動
chkconfig dovecot on ←dovecot自動起動を有効化
・設定ファイル(dovecot.conf)の編集
vi /etc/dovecot/dovecot.conf
#protocols = imap pop3 lmtp
⇒ protocols = imap pop3 lmtp に変更(#はずす 使用プロトコルの列挙)
#listen = *, ::
⇒ listen = * に変更(#はずし、::消す 今回はIPv4しか使わないので::(IPv6)へのバインドをしない)
・設定ファイル(10-mail.conf)の編集
vi /etc/dovecot/conf.d/10-mail.conf
#mail_location =
⇒ mail_location = maildir:~/Maildir に変更(#はずし、ファイル場所をかく)
・設定ファイル(10-auth.conf)の編集
vi /etc/dovecot/conf.d/10-auth.conf
#disable_plaintext_auth = yes
⇒ disable_plaintext_auth = no に変更(#はずし、noにする 平文認証の許可)
auth_mechanisms = plain
⇒ auth_mechanisms = plain login に変更(login追加 いらないかも?)
設定を保存し編集を終えたら、
service dovecot restart でdovecotを再起動
以上でメール受信できるようになったので、telnetを使ってターミナル上でメール受信ファイルを見るテストを行なう(IMAPを使う)
telnet localhost 143 ←ポート143番にlocalhostで接続
※1、2などの数字も忘れずに
Connected to localhost.
1 login user1 12345 ←「1 login ユーザー名 パスワード」でログインする
Logged in
2 list "" * ←ホームディレクトリの一覧を見るコマンド(""の後半角空白あり)
* List () "." "INBOX"
2 OK List completed.
3 select INBOX ←INBOXの中身を見るコマンド
1 EXISTS ←1通のメールがある
1 RECENT ←最新のメールは1通
3 OK Select completed.
4 fetch 1 body[] ←1通目のメールを見るコマンド(送信テストしたものが見れる)
From: user1@example.local
To: undisclosed-recipients:;
helo postfix
)
4 OK Fetch completed.
5 logout
5 OK logout completed.
テスト完了
・Evolutionというメールクライアントを使って送受信テストする
yum -y install evolution ←evolutionをインストール
インストール後、アプリケーション→オフィス→Evolutionを選ぶ
設定画面がでてくるので、2回進むを押す
以下の画面でuser1の情報を登録、追加情報の下にあるボックスのチェックをはずす
この画面では、サーバ指定欄に「127.0.0.1」を指定しておく
この画面でも、サーバ指定欄に「127.0.0.1」を指定しておく
適用ボタンを押した後、IMAPを使うためのパスワードをきかれるので、作成したアカウントのパスワードを入れる(今回ならuser1、server1ともに「12345」)
evolutionのタブの編集→設定を選ぶ
設定画面がでたら、右側にある追加ボタンを押し、server1についても先ほどと同じ設定を行なう
設定が終わったら、evolutionのタブの表示→現在のビューのメッセージ表示にチェック、またスレッドでグループ化にもチェックを入れる
次にevolutionのタブの表示→配置の3つの項目すべてにチェックを入れる
すると、左側にサイドバーができる
まず、server1からuser1へテストメールを送ってみる
左側サイドバーのserver1@example.localを選択し、新規ボタンを押す
以下の画面のようなメールを書き、送信ボタンを押す
左側サイドバーの送信済みを選択し、先ほど書いたメールがあれば成功
次にテストメールをuser1が受信できているか確認する
左側サイドバーのuser1以下の受信箱を選択し、以下のようにテストメールが届いていれば成功
メールサーバ兼クライアント(CentOS)内でメールのやり取りをできるようになった
●手順2
概要:CentOS、Lubuntuの持つインターフェースにIPアドレスを割り振り、IP通信ができることを確認する
・一旦CentOSをシャットダウンし、VMwarePlayerを開く
a.CentOSを選択し、右下の仮想マシン設定の編集ボタンを押す
b.設定画面の下の方にある追加ボタンを押しネットワークアダプタを選択
c.次へボタンを押し、そのまま完了ボタンを押す
d.ネットワークアダプタ2を選択し、カスタムにチェック
e.今回はVMnet19を使用するため、VMnet19を選択
f.設定が終わったら下の方にあるOKボタンを押し反映させる
・Lubuntuについてもa~fを行なう
・CentOS側からIPアドレスの設定を行なう
CentOSを起動する
システム→設定→ネットワーク接続を選択
Auto eth1(もしかしたらeth0かも)を選び編集ボタンを押す これはインターネット(NAT)につなぐインターフェースなので、接続名をinternetとし適用ボタンを押す
次にAuto eth2(もしかしたらeth1かも)を選び編集ボタンを押す これはVMnet19につなぐインターフェースなので、接続名をVMnet19とし、IPv4のセッティングタブを押す
方式を手動に、右側にある追加ボタンを押し、IPアドレス、ネットマスク、ゲートウェイをページ一番上にあるネットワーク構成図を参考に以下のように割り振り、適用ボタンを押す
以上でインターフェースの設定は終わったので、閉じるボタンを押し、再起動して設定を反映させる
・次にLubuntu側のIPアドレスの設定を行なう
Lubuntuを起動する
左下のスタートボタン→設定→ネットワーク接続を選択
Wired connection1を選び編集ボタンを押す これはインターネット(NAT)につなぐインターフェースなので、接続名をinternetとし保存ボタンを押す
この時、internetが2つできてしまうが、設定はしっかりとできているので無視してよい
次にWired connection2を選び編集ボタンを押す これはVMnet19につなぐインターフェースなので、接続名をVMnet19とし、IPv4設定タブを押す
方式を手動に、右側にある追加ボタンを押し、IPアドレス、ネットマスク、ゲートウェイをページ一番上にあるネットワーク構成図を参考に以下のように割り振り、保存ボタンを押す
以上でインターフェースの設定は終わったので、閉じるボタンを押し、再起動して設定を反映させる
・pingでIP通信ができることを確認する
CentOS側のターミナルで ping 192.1.1.2 を実行
64 bytes from 192.1.1.2: ・・・・ と応答が返ってくれば成功
次に、Lubuntu側のターミナルで ping 192.1.1.1 を実行
64 bytes from 192.1.1.1:・・・・ と応答が返ってくれば成功
※もしうまくいかなかった場合
CentOS、Lubuntu両方でifconfigコマンドを実行する
これはインターフェースの情報が見られるコマンドとなる
CentOS側:eth1の項目にinet addr:192.1.1.1があることを確認
Lubuntu側:eth1の項目にinetアドレス:192.1.1.2があることを確認
⇒なければIPアドレスがしっかりと振れていない可能性があるので、ネットワーク接続設定画面を開き、設定されてなければ設定し、再起動する
●手順3
概要:192.1.1.0/24内でもメールを使えるようにする
・まずはpostfixから設定
CentOS側のターミナルで以下を実行
su
vi /etc/postfix/main.cf
mynetworks = localhost
⇒ mynetworks = localhost, 192.1.1.0/24 に変更(自分のネットワークにVMnet19を加える)
service postfix restart ←postfixを再起動
・dovecotのdovecot.confの編集
vi /etc/dovecot/dovecot.conf
#login_trusted_networks =
⇒ login_trusted_networks = 192.1.1.0/24 に変更(#をはずし、ネットワークアドレスをかく 必要ないかも?)
service dovecot restart ←dovecotを再起動
以上で設定終わり
●手順4
概要:CentOSとLubuntu間でのメールのやり取りをテストする
・Lubuntu側のターミナルで以下を実行
sudo apt-get update ←一応アップデートしておく
sudo apt-get install evolution ←evolutionのインストール
左下にあるスタートボタン→オフィス→Evolutionを選択
アカウント設定画面がでるので、以下の画面まで続行ボタンを押す
以下の画面では、user1の情報を登録し続行ボタンを押す
次の画面では、以下のようにサーバー指定欄に「192.1.1.1」を指定し、ユーザー名をuser1とする
(次の画面:新着メールをチェックする周期は10分ぐらいにしておくといいかも)
以下の画面で、サーバー指定欄に「192.1.1.1」を指定しておく
アカウントの設定が完了するとパスワードをきかれるので、登録したユーザ名のパスワード(今回ならuser1のパスワード「12345」)を入力する
次に新しいキーリングのパスワードの指定を聞かれるが、これも登録したユーザ名のパスワードで良い(と思う)
・最後にメールの送受信テストをする
1.user1(Lubuntu側)からserver1(CentOS側)にテストメールを送る
メールの作り方はメールサーバ内でやった時と同じなので省略
Lubuntuのuser1アカウントでserver1へテストメールを送り、CentOSのserver1
の受信箱に来ていれば成功
2.server1(CentOS側)からuser1(Lubuntu側)にテストメールを送る
CentOSのserver1アカウントでuser1へテストメールを送り、Lubuntuのuser1の受信箱に来ていれば成功
もしすぐ届いてないようだったら、上にある送信/受信ボタンを押せばメールがくるはず、それでもこなければevolutionを一度閉じてまた起動すればくると思う
以上で、目標通り、メールクライアントを用いてローカルネットワーク内でメールのやり取りができました
今回は、メールサーバをたてるための簡単な知識を取得するorローカルネットワーク内での検証用にメールサーバをたてるという目的を前提としているので、SSLなどのセキュリティ機能は使っていません
ですので、社内メールサーバとして運用したり、外部にメールサーバとして公開し運用するなど、正式なものとして運用する場合はセキュリティ機能も必ず設定してください
お疲れ様でした